青色申告 元入金? 事業主借? 今年開業の個人事業主さんへ

LINEで送る
Pocket


このページは2017年12月11日に更新しました

開業時の資金について
元入金』扱いにするのか、『事業主借』扱いにするのか
迷われる方も多いかと思います。

初年度の事業運営資金を『元入金』にしたときと、『事業主借』にしたときの違いは
決算書類である『貸借対照表』だけに出てきます

開業時の資金を、
『元入金』にするのか、『事業主借』にするのか、
という質問はあちこちでされています。

そして、それに対する答えでかならず出てくるのが、

「結果はどちらにしても変わらないです」

という説明。

でも待ってください。

厳密には、『元入金』にしたときと、『事業主借』にしたときでは

「結果は同じでも、扱い方法は変わります」

ですよ。


こんにちは、片桐いつきです。

8年間の極貧個人事業主生活から大逆転、
今はいえから気ままに会社を経営中。

今回は、すでに累計10万人に読まれているという話題です。

それだけ関心が高くて、扱い方に迷う方が多いのですね。
常時、気合を入れて加筆修正している記事のひとつです。

「最後まで読めば、あなたの迷いが嘘のように消えてなくなること間違いなし!」

ですよ。

では早速、開業資金を『元入金』と『事業主借』のどちらにしたらいいのか、の本題に入っていきましょう。

 青色申告 元入金? 事業主借?
 今年開業の個人事業主さんへ 目次

何が違うの?
  貸借対照表への記載の仕方が違うんです

結論:お好みでどちらにしてもいいけれど・・・
  おすすめは『事業主借』

結局どういうことなの?
  「開業資金に『事業主借』『元入金』のどちらを使っても同じ」なのは次年度

 

貸借対照表への記載の仕方が違うんです

開業時にかかった資金を『元入金』にしたときと、『事業主借』にしたときでは、扱い方が変わる。

具体的には、青色申告のために毎年12月31日締めで作成する、『貸借対照表』という表への記入方法だけが違います

・・・うーん。いきなり触れたくないものに触れることになってしまいましたね、『貸借対照表』。
これは青色申告にいどもうとする私たちにとって、最後にして最強の敵ですからね。

でも! とにかく!

できるだけわかりやすいように一生懸命解説しますので、なんとか読んでみていただければと思います。

読んでもどうしても分からなかったら、そのときは直接「分からなかった」とお知らせくださいね。

さて、開業資金を『元入金』にするか、『事業主借』にするかで『貸借対照表』への記入方法だけが変わるというお話でしたね。

どういうことかといいますと。

まずは『貸借対照表』の性質から説明します。
貸借対照表がどんなものかご存知の方は読み飛ばしてください。

貸借対照表は、

左側と右側の金額が一致する

という性質を持っています。

「一致させなければならない」
と言った方が、みなさんの感覚に近いでしょうか。

下の画像をご覧ください。
わかります、わかりますよ。拒絶反応でますよね。ここはひとつ、そこをぐっとこらえていただいて・・・

手書きで青色申告書類を提出する際の実際の書式です。

※ すべての画像はクリックすると別窓・別タブで拡大表示されます

貸借対照表書式

上の画像のように

期首は期首で、期末は期末で
左側と右側に同じ金額が入りますよ

というのが
この貸借対照表の原則です。

では、例として分かりやすいように
決算日(=期末=12月31日)の前日の
12月30日に晴れて開業をしたとします。

そして事業資金を準備しただけで
収入も支出もなく、そのまま期末を迎えます。

開業日の12月30日に
事業運営の資金として、合計20,000円を準備し
自分個人の財布から、事業の財布へと移動しました。

内訳は

現金のまま 10,000円
預金口座に 10,000円

です。

何度かお話しているように、開業資金を『元入金』か、『事業主借』にするかで変わるのは『貸借対照表』への記入方法だけでしたね。

日頃の記帳で違うのは、『元入金帳』に書くか、『事業主借』に書くかだけです。

帳簿のどのページに記入するのかが違うというだけで、日頃の記帳自体にはなにも複雑で難しいことはありません。

ですからここでは、日々の記帳の説明はそれくらいにして

現金のまま 10,000円
預金口座に 10,000円

の開業資金を、いきなり貸借対照表に反映させてみましょう。

まずは期末の金額から当てはめてみます。

ここからの画像は提出用の貸借対照表と同じ項目を
同じように左右に並べて作ったExcel(エクセル)の表を使います。

現金と預金の残高を貸借対照表に反映

上の画像のように、貸借対照表の左側の期末の合計額は

10,000+10,000=20,000

になりました。

確かに期末だけ見ると、『事業主借』に20,000と入れても
『元入金』に20,000と入れても
合計額は20,000で同じ
結果になりますね。

期末は事業主借でも元入金でも同じ

では、期首に視線を移してみましょう。

貸借対照表の機首部分を拡大した画像
 ↓ ↓ ↓

事業主借と元入金の機首部分

!!

!!!

なんということでしょう!

「事業主借」は貸借対照表の期首部分には記入できないように
斜線 / が引いてある
ではありませんか!

これは、『元入金』が前期末時点での『事業主借』を含む

という性質を持っているため、重複するのをふせぐために
あらかじめほどこされている工夫です。

ゴメンナサイ。
またわけのわからないことを言い出してしまいましたね。

でもご安心ください。

「ふうん。
 『元入金』って前期末時点での『事業主借』を含むものなのね」

程度にとりあえず受け止めてさえおいていただければ
下の計算式の内容は、今は理解していただかなくて大丈夫です。

《参考資料》
元入金のもとめ方

元入金
 = 前期末の元入金
 + 前記の青色申告特別控除前の所得金額
 + 前期末の事業主借
 - 前期末の事業主貸

元入金のもとめ方

ちなみに、上の式に含まれる「元入金」以外のすべての項目が、
貸借対照表の期首部分には記入できないようになっています。

これがさきほどもお話した
二重に足したり引いたりしてしまうのを防ぐための工夫ですね。

その年の機首からの『元入金』も『事業主借』も
次の年の機首には全部が『元入金』に合算される
仕組みを見越して
二重に記入してしまわないようあらかじめ斜線 / が引いてある貸借対照表
 ↓ ↓ ↓

元入金に含まれる項目たち

また、『元入金』は一年をとおして金額が変化しない
つまり、貸借対照表の機首部分にも期末部分にも同じ金額が入るという性質もあります。

以上のことを踏まえると、
事業開始時の資金を『元入金』として扱うなら
下の画像のように
同じ20,000という金額を記入をすることになります。

事業資金に元入金を適用した場合

さらに、貸借対照表は左側と右側の期首の金額が
一致しなければいけませんから
左側にある『現金』『その他預金』にもそれぞれ
金額を入れることになります。

《事業資金を元入金にした場合の貸借対照表》
 ↓ ↓ ↓

元入金を適用した場合の貸借対照表

一方、開業資金を『事業主借』として扱った場合。

貸借対照表の右側にある『事業主借』の欄には
期首の金額を記入できない
ことから
対応する左側の『現金』『その他預金』にも
金額を記入したくてもできません

ということは、開業資金を『事業主借』として扱った場合
貸借対照表の機首部分には
開業資金の額が反映されない
ことになります。

《事業資金に事業主借を適用した場合の貸借対照表》
 ↓ ↓ ↓

事業資金に事業主借を適用した場合の貸借対照表

きれいに機首の金額が左右とも「0」で揃いましたね。

 

結論:お好みでどちらにしてもいいけれど
おすすめは『事業主借』

このように

『元入金』にしても『事業主借』にしても同じ」

と言われている開業時の資金の扱い方には
実は両者でここまで大きな違いがある
のです。

この違いが説明されずに

「開業資金は『元入金』にしても『事業主借』にしても同じ」

とだけ言われると

「開業資金分だけ貸借対照表が合わない」

「事業主借分だけ貸借対照表が合わない」

「元入金分だけ貸借対照表が合わない」

という
青色申告を必死でがんばっているあなたを
くじけさせる大きな原因になってしまう可能性があります。

開業資金を『事業主借』で扱ったとき
貸借対照表の機首部分が0から始まるのが
少し不自然に感じられるかも
しれません。

でもこれはこれで正しい決算方法なんです。

さかのぼってみたら
私自身も開業資金を『事業主借』として処理していました。

また、今回この記事を書くにあたり
税務署にも問い合わせてみましたが
開業年度の貸借対照表の期首金額が「0」であっても問題ないそうです。

私としては、開業資金を『事業主借』として扱う方がおすすめです。

理由は、事業資金は年間を通じて
個人のお財布から追加していくことが多くて
『事業主借』の帳簿は結局使うことになる可能性が高いから。

一方『元入金』の帳簿は
開業資金を元入金として扱わなければ初年度は必要ありません。

1月1日から12月31日まで
一年をとおして金額が変化しないのに
わざわざ帳簿を作ってまで『元入金』を管理するのも
面倒だと思うのです。

そんな手間をかけてまで開業資金を『元入金』として扱うのは
借り入れなどを予定していて
できるだけ『事業主借』の金額を少なくしたい
場合。

「『元入金』は企業でいうところの『資本金』にあたる」

と説明されることも多いですね。

そのため『元入金』として扱った方が見栄えがいい、と
感じる方もいらっしゃるようです。

本当に借り入れをするときに見られるのは
『事業主借』が多いか少ないかだけではなく
つねに個人のお財布から事業資金をつぎ足しているような
個人と事業の資金の切り分けができていない状態

これだとお金を貸す側としても

「そんなに資金繰りに困っている人に
 お金を貸しちゃって大丈夫だろうか」

と感じて、断ることが多くなるそうです
(日本政策金融公庫の窓口係さま談)。
資金繰りが順調なら借り入れしないんですけどね、そもそも。
「将来的にちゃんと返してもらえそうかどうか」の目安のひとつらしいです

いずれの方法をとるにしても
貸借対照表を作成する際に、開業資金を

・元入金にするなら期首金額に
 開業当日の各項目の残高を含める

・事業主借にするなら期首金額に
 開業当日の各項目の残高を含めない

ことさえ気をつけておけば

「開業資金が原因で貸借対照表の左側と右側の金額が合わない!」

という危機的状況が起こる原因をひとつ減らすことができます。

危機をふせぐためにおさらい。

開業資金に『事業主借』を適用した場合
期首の金額が「0」になるのはあくまでも貸借対照表上のお話。

『現金』『預金』それぞれの出納帳には
開業日付でそれぞれ10,000円の入金を記帳することは
『元入金』を適用するときと何も変わらないことにご注意ください。

 

「開業資金に『事業主借』『元入金』のどちらを使っても同じ」って結局どういうことなの?

では『元入金』を使った場合と『事業主借』を使った場合とで
何が同じになるのかというと。

それは

「事業開始翌年からの」元入金の金額です。

ここでもう一度、以下の計算式をご覧ください。

《元入金のもとめ方》

元入金
 = 前期末の元入金
 + 前記の青色申告特別控除前の所得金額
 + 前期末の事業主借
 - 前期末の事業主貸

元入金のもとめ方

ここに、開業資金の20,000円を『元入金』とした場合と
『事業主借』とした場合の数値をそれぞれ当てはめてみましょう。

《開業資金20,000円を『元入金』にした場合》

事業資金を元入金にした場合の来期の元入金

《開業資金20,000円を『事業主借』にした場合》

開業資金を事業主借にした場合の来期の元入金

相変わらず覚える必要はまったくない計算式ですが
こうして金額を当てはめてみると
わざわざ見ていただいている意味がわかるかと思います。

『元入金』にしても『事業主借』にしても
来期の元入金額に違いは出ませんね。

はじめに何として扱うのか項目が違うだけで
開業の次の年度からは毎年、同列で加算されていく性質のものです。

だから、初年度の開業資金を『元入金』にしようが『事業主借』にしようが
全部の金額が次年度からは『元入金』になる
というわけなんです。

よく言われる、

「事業資金を『元入金』にしても
 『事業主借』にしても変わらない」

<変わらない/b>は、このように

「開業翌年になれば元入金も事業主借も
 元入金に含まれるのだから」変わらない

ということだったんですね。


 

開業資金を『元入金』にしたときと
『事業主借』にしたときの違いには
私が自分で使うために作った青色申告用のExcelファイル
他の方にもお使いいただけるよう
見直しているときに気づきました。

私自身は何の迷いもなく『事業主借』として処理していたので
今回他の方が自分の作ったExcelファイルを使う
ということを想定して操作してみて
初めて判明したことでした。

元入金や事業主借の言葉の意味が分からなくても
65万円の青色申告特別控除を受けられる
青色申告用Excelファイルは「Vector(ベクター)」でも公開中です。

初心者さんの青色申告

このファイルをご利用になる際には
開業資金は『事業主借』としてくださいね。

LINEで送る
Pocket
なんの取り柄もない極貧個人事業主
わずか2年で社長になった
事業を大きく成長させる秘密
はここから学びました。

すでに個人事業主であるあなたは
短期間で成長できる可能性を秘めた金の卵です。

bnr_header_1400_800


This entry was posted in 解説編, 青色申告. Bookmark the permalink.

Leave a reply