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青色申告 個人の使用分が混ざっていても、すべてを「事業専用」として記帳する方が単純です

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前回の記事、

青色申告 個人(家事)使用分と事業使用分が混ざっている場合の
 記帳のしかたと自動計算表

を書いている間に、


「じゃあ電気料金以外の支払いで
 個人の使用分と事業分が混ざっているときの
 お金の出どころの違いにはどう対処したらいいんだ?」

という疑問がわいたので、
今回はそのことについて説明しようと思います。


一番簡単に管理するための結論は、

財布も預金口座も、事業専用として記帳しよう

です。



目次 ::: すべてを「事業専用」として記帳しよう

1.実際にすべてを「事業専用」にするのは難しい
2.お財布だけは個人用・事業用に分けよう
3.預金口座はすべて事業専用として扱おう
4.事業主借・事業主貸って何? どう使うの?





実際にすべてを「事業専用」にするのは難しい

よし、今日から個人事業主としてやっていくぞ!


と起業をしたからといって、
いきなりスパっとすべての金銭の管理を

個人用 │ 事業用

と分けるのは難しいものです。




というより、
開業を思い立ったその日から、
いきなり事務所用に部屋を借りました、
などということでもない限り、

いきなりすべての金銭を個人用・事業用で分けるのは
不可能
です。


それは前記事で書いたとおり、
最低でも「電気料金」というものの中に、
個人での生活のために使用している分と、
事業のために使用している分が混ざって
請求され、支払うことになるからです。




それでも事業としてやっていくからには、
どこからどこまでが事業分なのか、
ということは、
しっかりと把握しておくことが必要です。

そうでなければ
どれだけの経費に対して
どれだけの売り上げがあったのか、
という、根本のところが把握できずに、
知らないうちに出費ばかりが増えていた

なんてことになりかねません。


これは個人のお金=家計にも言えることですね。

どこからどこまでが生活費なのかが分からなければ、
今月は外食し過ぎた」などということに
気づくこともできません。




要するに、個人事業をしているときの
お金の管理というのは

現実には個人のお金と事業の資金が入り交じっているけれども
それぞれを独立して管理する必要がある

わけです。




「それは分かるけど、具体的にどうしたらいいの?」

という声が聞こえてきそうですね。

ではどういう管理方法が理想的なのか、
についてお話していきましょう。

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お財布だけは個人用・事業用に分けよう

先ほど『お金を個人用と事業用に分けるのは実質不可能』
と書きましたが、
それはあくまでも預金口座や請求書に載ってくる金額のお話です。

※電力会社に「7割と3割に分けて請求してください」と言っても
 してくれませんよね。




現金は、手元に自分で持っているお金ですから、
この記事を読んでいる今すぐにでも、
個人の家計分と事業資金分に分けることが可能です。

現金の事業資金管理方法


事業資金分の現金を入れて管理するには

●もうひとつの財布
●金庫
●お菓子の空き箱

など何を使っても構いません。


おそらくこれをするのが難しい理由は
端数の小銭がない、ということくらいのものですから、
事業資金の現金側にいつも細かいお金を用意しておくと便利です。




そして本来なら、この事業分の現金も持ち歩いて、
事業に関する出費はそこからお金を出すわけですが、
これはあまりに非現実的です。


私は以前、出かけるときにしっかり個人用と事業用、
ふたつの財布を持ち歩いていたのですが、
現金での売り上げもあったため
事業用の財布の中身が万単位で増えていき、
多額の現金を持ち歩くことが不安になったのでやめました。




かわりに持ち歩くのは、普段どおり個人用の財布だけにして、
事業分の出費をしたときには「現金出納帳」に記帳すると同時に、
その日のうちに個人用と事業用の財布の中身を
移動させる
ことで対応するようにしました。

個人用と事業用の財布の中身を移動させる


こうするだけで、日の終りには
いつでも事業資金分の現金と、
それを管理する帳簿である「現金出納帳」の額が
完全に一致している状態を保てます。

もし、一回の現金での支払いの中に、
個人使用分と事業使用分が含まれている
場合には
(例:ガソリンを入れたが、半分は生活のため)
領収証を保管の上、
そのうちの事業分にあたる金額を
事業用の資金から個人の財布に移せばいい
わけです。

現金の事業資金管理方法

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預金口座はすべて事業専用として扱おう

今度は口座預金の管理についてです。


ここがやっかいなのは、
例え事業の売り上げ・支払いのために
事業専用の口座を作ったとしても、

電気料金の引き落としのように
個人使用分と事業分を含んだ請求もあり、
結局は個人分と事業分が
ひとつの口座の中で混ざってしまう

という状態になるからです。


ちなみに事業専用の預金口座は、
通帳・預金明細と同じ内容を預金出納帳に記帳することで
簡単に管理できます。

事業専用口座の管理




問題は、現実に混ざってしまうものを
帳簿の上でどう管理したらいいのか
、ですね。

ここで私は、

事業に関する出費のある預金口座は
帳簿の上ではすべて事業専用として管理する

ことを提案します。


なぜすべての口座を事業専用として管理するのが
単純なのかというと、
記帳をする上で、

事業専用口座の存在、はあり得るけれども
個人専用口座を記帳する必要はない

からです。


ですから帳簿上に登場する預金口座の性質を、
すべて事業専用、としてしまうことで、
個人使用と事業使用の混ざった口座を、
「預金出納帳」と「事業主借」「事業主貸」という帳簿を使って
単純に管理できる
ことができます。

▲ 目次へ戻る





事業主借・事業主貸って何? どう使うの?

個人使用分の入金・出金もあるけれど、
事業に関する出費の支払い分も含まれている。

そんな預金口座の残高を、
まずは全額「預金出納帳」に記帳
します。

事業を始める時点、
またはその預金口座を事業の支払いにも使う場合がある、と
判明した時点で、
その預金口座の「預金出納帳」を
口座残高と同じ金額を入れて作って
しまいます。

(例:9月5日に残高30,000円の個人口座で
      事業分を含めた支払いが発生することが判明した)
預金口座を事業用に開始時点で預金出納帳作成


と、同時に、「事業主借」の帳簿にも
同額を記帳します。

預金口座残高を事業主借にも記帳


これでこの口座を、
「事業専用口座」として使う準備が整いました





口座の残高と預金出納帳の残高を合わせるために、
個人分の入出金も含めてすべてを記帳してもいいのですが、
いちいち記帳するのは大変なので、
私は月末に個人分の入出金をまとめて
「事業主貸」か「事業主借」で記帳する
ようにしています。


例えばある預金口座での1月中の入出金が
以下のようにあったとします。

(例)1月の預金通帳・明細表


この場合、
個人分の入出金を合計すると出金の方が8,000円多いので、
1月末日付で以下のように記帳し、
同時に「事業主貸」にも8,000円を
個人入出金分として記帳
します。

(例)1月の預金出納帳への記帳内容


もちろん個人分の入出金を合計したとき
入金の方が多くなるなら
(例えば給与を受け取る口座に指定している場合など)、
個人入出金分は「預金出納帳」の「入金」の欄と、
事業主借」に記帳
します。






事業主借事業主貸という言葉や概念は、
青色申告をしようとでもしない限り接しないものなので、
とっつきにくくて当たり前なのですが、

「このときはどっちを使ったらいいの?」

を余計に分かりにくくしている理由が、
実は個人兼用と事業専用の財布や口座を
混在させて管理している
点にあります。


例えばある預金口座を、
個人分の入出金もあるからと
「個人用」と設定して記帳をするなら、
事業主借」と「事業主貸」を真逆にして
記帳をしないといけません。


先ほども書いたとおり、
事業専用口座の存在、はもちろんあり得るし
その入出金はそっくりそのまま記帳すればいいけれども、
個人専用の口座であれば、そもそも記帳する必要がないので

どちらかに合わせるなら、
当然「事業専用」と設定して扱う
ことになります。




「青色申告をするのに、
 個人の入出金まで晒すなんて・・・。」

と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、
そもそも事業に関わる入出金に預金口座を使っているなら
その通帳なり明細を印刷したものなりを
帳簿と一緒に保管しておくことは義務ですから、

帳簿の上で個人用として扱おうが、事業用として扱おうが、
預金口座の中でどれだけの額の増減があったかは
どちらにしろ明らかにしないといけないことです。




同じことなら合理的で単純な方がいいので、
この記事ではすべてを「事業専用」として扱う方法を
ご紹介・おすすめさせていただきました。


以下のPDFファイルは私が自作している
「初心者さんの青色申告」Excelファイルをお使いの方用に
今回の記事に書いたことをまとめたものです。

よろしければ、参考になさってください。

「初心者さんの青色申告」のあらまし




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