青色申告の”決算期”や”年度”の区切りは、私たちが日頃慣れ親しんでいるものとは違います。
ここでは青色申告のための決算や青色申告書類に記入をするとき、いつを開始日にして、いつを終了日にすればいいのかをご紹介します。
自”って何? ”至”って? 青色申告の書類にあらわれるナゾの暗号
青色申告のはじまりとおわり 基本は1月1日~12月31日です
開業・廃業したときのはじまりの日とおわりの日の決まり方
”自”って何? ”至”って? 青色申告の書類にあらわれるナゾの暗号
まずは青色申告の書類を作るときに出会うことになる、”自”と”至”の文字について、サラッと触れておきましょう。
あなたがこの文字を見るのはたとえば、青色申告書類の中の『損益計算書』上部。
■損益計算書
はい、分かります。分かりますよ!
ひと目見ただけで頭が痛くなりそうですよね。
そこをひとつ。グッと、グッとこらえていただいて。
とりあえずは、目をチカチカさせるこの書類の、上部のここにだけご注目ください。
■損益計算書 「自・至」部分
おーっと、見えない!
画像をクリックしていただくと、大きな画像をご覧いただけるのですが、さらに拡大し、さらに印もつけてわかりやすくしたのがこちら。
じゃじゃーん。
ありましたね! ”自”と”至”の文字!
どうしてもまだちっちゃいですよね、ごめんなさい。
よく見えなかったら、画像をクリックしてみてください。大きく表示されます。
”至”って、まだ何となくわかると思うんです。”至る”って言葉の意味、そのままですよね。
「そこに至る、『ここまで!』って意味だな」
と。
わからないのが”自”です。
「青色申告で”自”って? ”自”って何? ふつう”自分の”とか”そのものの”って意味だよね?」
そんなふうにあわてふためいてオロオロしました。この表示を最初に見たときは。
まぁ、明らかなんですけどね。この書類の頭に”至”と並んで書かれている時点で、たぶん”自”は”はじまりの日”を意味するんだろうな、なんてことは。
でも!
「きっとはじまりの日付を書けばいいんだな」
なんて適当な感じで記入できるものではないですよね、青色申告の書類って。
少なくとも私は、確信が持てないまま、青色申告の書類に記入するなんて怖くてできないです。
だって書類を一生懸命作って、いざ提出! となったときに
「あ、ここ。間違ってますよ」
なんて言われた日には、もう立ち直れないじゃないですか!
そこで私は行きましたね、最寄りかつ所轄の税務署さんへ。
そして確認しました。だから間違いないです。
青色申告書類の”自”ははじまりの日付
”至”はおわりの日付 です!
前置きが長くなりましたが、こんどは青色申告のはじまりの日付とおわりの日付が、どう決まるのかをみてみましょう。
青色申告のはじまりとおわり 基本は1月1日~12月31日です
街に決算セール!なんて文字が踊るのは、毎年2月から3月にかけてですよね。
学校や役所で”年度”というときには、桜咲く4月からはじまって、やっと春が近づいてくる3月に終わる。
決算や公の手続きなどに関して、私たちが慣れ親しんでいるのはこの
4月から年をまたいで翌年の3月
というくくり。
それが青色申告では毎年1月1日~12月31日というくくりだというのだらか、それだけでももう戸惑ってしまいますよね。
たとえば
「平成29年度の青色申告をしよう!」
と、あなたが考えたとしたら、集めなければいけない領収書や、帳簿で管理しないといけない金品の動きは平成29年1月1日~平成29年12月31日までのもの。
その期間の記帳をもとに青色申告の書類を作成して翌年 平成30年の3月15日までに提出する、という流れです。
お正月が明けた頃から騒がしくなってくる青色申告界隈(個人事業主仲間のみなさん)。
「さぁて今年も青色申告をやっつけちゃおうか!」
というときには、前年の1月1日~12月31日までの話をしているんですねぇ。
確かに、
「3月に決算するものを3月中に提出するように!」
と言われたってそれはムリな話なのですが。
個人事業主として仕事をはじめた当初は、この期間の違いに少なからず衝撃を受けたものでした。
以上のように、青色申告で扱う期間は原則毎年1月1日~12月31日と決まっています。
それは個人事業主である限り、町の地主さんでもお代官様でも変わりません。
そうは言っても何にでも”例外”が存在するもの。
この”例外”こそ、その年に開業・廃業をした場合ということなんですね。
開業・廃業したときのはじまりの日とおわりの日の決まり方
ここ2年の間に開業したり廃業したりせず、その年を通じて事業をおこなっていれば、一度の青色申告に含まれる期間の開始日付は1月1日、終了日付は12月31日で毎年同じです。
■青色申告決算書の損益計算書 「自・至」部分
では直近の1月1日から12月31日の間に個人事業を開業・廃業しているときの開始日付と終了日付は、どうなるのかをみてみましょう。
自 事業開始日の決まり方
直近の1月1日から12月31日の間に開業していれば開業日(開業した当日から)
それより前の年に開業していれば1月1日
至 事業終了日の決まり方
直近の1月1日から12月31日の間に廃業していれば廃業日(廃業した当日まで)
事業を継続しているなら12月31日
開業・廃業した場合と年間を通じて事業を続けた場合の帳簿への記入例
■■現金出納帳
■その年に開業している場合
開業と同時に現金を準備していれば開業日付で、
開業日にはまだ準備がなければ事業用に現金を準備した日から
記入を始める。
■その年に廃業している場合
廃業日付で現金出納帳の残高と実際の現金残高とを合わせ、
残高すべてを「家計へ」などとして出金処理し残高を「0」に。
併せて事業主貸の帳簿にも同額の入金を記録する。
■年間を通じて事業をしていた場合
(その年に開業も廃業もしていない場合)
1月1日付で「前期からの繰越」などとして、
前の年の12月31日時点での現金残高を記入。
12月31日時点での現金出納帳と実際の現金残高を合わせ、
その額を次の年に繰り越す。
青色申告をしようとすると、はじめて出合って戸惑うことってたくさんありますよね。
”自”と”至”もそのひとつ。今でも
「なんで”開始”○月○日~”終了”○月○日ってしてくれないんだろう」
と思っています。
まさか”自”と”至”じゃなきゃいけないなんて、法律で決まっているはずもなく、いわゆる政務・会計界の慣習なのだと思います。
今までそうしてきたんだから、これからもそうでいいでしょ、って。
というか、たぶん税務や会計に詳しい人たちにとっては当たり前で、気づかないんだと思います。
私たち一般人にはとても分かりにくくて、”自”と”至”の書き方だけで、丸1日でも丸2日でも悩んでしまえるなんてこと。
私だって結局、税務署さんに行って確認するまでは
「うん、これでいいんだ!」
という確信は持てませんでしたから。
そんな強敵、”自”と”至”も、紐解いて見れば、気をつけなくてはいけないのはその年に開業・廃業をしている場合だけ、ということがお分かりいただけたと思います。
それ以外、一年を通じて事業をおこなっていた場合には、1月1日をはじまり = 自、12月31日をおわり = 至 とすればいいのですね。
12月31日時点で帳簿の残高や合計額を算出して、それを実際の現金などの残高と合わせる作業が、決算や棚卸(たなおろし)と呼ばれます。
青色申告のための4枚組(両面に印刷されているから税務署さんでもらった場合は2枚組)の書類はまとめて青色申告決算書と呼ばれます。
基本の印刷は緑色でされている表のことで、その年の全部の記帳が→決算・棚卸でまとめられ→そこで算出された数字を青色申告決算書に記入する、という流れです。
一年に一度のことですから、毎年していてもどうしても忘れてしまったり、戸惑うことも出てくるかと思います。
そんなときにはぜひ、こちらのブログのいろいろな記事を参考にして、大変ですけれどあきらめずに、65万円の青色申告特別控除を勝ちとってくださいね。
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